暇つぶしに購入した大リーグ総集編の表紙を飾っていたのが、マーク・マグワイヤでした。その年、アスレチックスの新人であったマグワイヤの活躍は凄まじく、それまでのメジャー新人記録を大きく上回る、ホームラン49本をかっ飛ばし、ホームラン王のタイトルを獲得、満票で見事新人王に輝きました。
しかし、私の心を動かしたのは、その圧倒的な記録だけではありません。49号のホームランを打った後、世間は50本の大台を期待しました。日本のプロ野球でも同様だと思いますが、ホームラン50本というのはメジャーでも特別な数字です。ところがマグワイヤは、妻の出産に立ち会うという理由で残りの試合を欠場したのです!
当時の私、と言うより殆どの日本人にとって、大事な仕事を抱えていながら、妻の出産に立ち会うから会社休みます!なんて発想はなかったと思います。マグワイヤが仕事より家庭を選び、監督や球団もそれを受け入れる。そして、それを是とするアメリカの文化、懐の深さに感動し、あまりの日本との違いに愕然とした事を思い出します。
その後もマグワイヤは順調にキャリアを重ねます。通算ホームランは583本、ホームラン王4度、打点王1度を獲得しました。1996年からは4年連続で50本以上のホームランを放ち、特に1998年、サミー・ソーサとの歴史に残るデットヒートを、当時のメジャー最多ホームラン記録である70本で制した時は、一般のニュースでも取り上げられていたほどです。
まさにマグワイヤは私にとってスーパーヒーローでした。あの出来事が起こるまでは…。
コメント