1993年9月、あるメジャーリーガーの快挙が、日本のスポーツ紙の1面を飾りました。彼の名は、ジム・アボット、成し遂げた快挙はノーヒット・ノーランです。ノーヒット・ノーランは確かに快挙ですが、メジャーリーグはもちろん、日本のプロ野球でもたまに達成される記録です。そして、当時(今もかもしれませんが)日本人メジャーリーガー以外のことでメジャーリーグ関連のニュースがスポーツ紙の1面を飾ることは非常に珍しいことでした。
何故彼が1面を飾ったのか?それは彼の大きな特徴にあります。彼は生まれつき、右腕の手首から先がなかったのです。
1988年にドラフト1位でエンゼルスに入団、翌年マイナー経験なしにメジャーに昇格(これも快挙です!)、12勝をあげエース級の活躍を見せました。投げるだけでなく、守備でもメジャーリーグ上位でした。右腕にグラブを乗せ、左腕で投球後、素早く左腕にグラブをはめ、打球を捕球後は右脇にボールごと抱えて、左腕でボールを投げるというアボット・スイッチと呼ばれる投法で、守備でも試合に貢献しました。
メジャー通算87勝108敗という成績を残し、惜しまれつつ1999年に引退したアボットの活躍は、ハンディキャップを抱える人達だけではなく、私のような平凡に生きている人間にも、希望や勇気を与えてくれたのでした。引退後は、講演会等で活躍されているそうです。日本の高校英語教科書で紹介されたそうなので、野球ファン以外でも覚えている人は多いのではないでしょうか。
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